PowerPoint資料を印刷用PDFに変換する
PowerPointのスライドを印刷したら、ディスプレイで見た色と違う理由
みなさんは、PowerPointで作ったスライドを印刷したら、ディスプレイで見た色とは全然違うものになってしまったという経験はあると思います。
それは、PowerPointのカラーモードがRGBだからです。
RGBというのは、赤・緑・青の三原色を混ぜて色を作る方法で、ディスプレイやテレビなどの光を発するものに使われます。
しかし、印刷物ではRGBではなく、CMYKというカラーモードが使われます。
CMYKというのは、シアン・マゼンタ・イエロー・ブラックの四原色を混ぜて色を作る方法で、インクやペンキなどの光を反射するものに使われます。
RGBとCMYKでは色の表現範囲が違うので、同じ色でも印刷すると変わってしまうのです。
PowerPointのデータを印刷するときに色が変わらないようにする
印刷するとディスプレイと違う色になってしまうPowerPointですが、印刷するときに色が変わらないようにすることが出来ます。
その方法は、PowerPointのデータをCMYKモードのPDFに変換することです。
PDFというのは、Portable Document Formatの略で、どんな環境でも同じように表示される文書ファイルの形式です。
PDFに変換することで、PowerPointのデータを印刷用にすることが出来ます。
今回のブログ記事では、そのPowerPointのデータをCMYKモードのPDFに変換する方法を解説します。
なお、PowerPointのデータをCMYKモードのPDFに変換するには、Imagemagickというソフトを使用します。
Imagemagickは、コマンドで画像編集が出来るソフトです。
Windows、MAc、Linuxで使用できます。
ダウンロードは以下のサイトから行い、インストールを行って下さい。
今回は、Windowsで、以下のスライドを使用して、その方法をご紹介します。
PowerPoint資料を印刷用PDFに変換する方法
1.PowerPointの印刷データを高品質にする
まず最初に、PowerPointの印刷データを高品質にします。
通常のPowerPointのデータですが、メール添付されること多いため、初期設定では、データを軽くするため画像の品質を下げています。
そのため、これを印刷データを使用すると画像が粗くなるという現状が起きます。
これを印刷用に画像が高品質にする必要があります。
その方法ですが、まず印刷データにしたいPowerPointのファイルを開きます。
その後、ファイル→オプション→「詳細設定」選択します。
詳細設定を選択し、「イメージのサイズと画質」の「ファイル内のイメージを圧縮しない」にチェックをしれて、規定の解像度を「高品質」に設定して、OKをクリックします。
これでPowerPointの印刷データを高品質に出来ます。
2.任意のフォルダを作成する
自分の分かりやすいところに任意のフォルダを作ります。
私は、デスクトップにCMYKというフォルダを作りました。
3.作ったフォルダにカラープロファイルファイルを入れる
PowerPointのデータをCMYKカラーに変換するのに使うカラープロファイルファイルは、sRGB2014.iccとJapanColor2011Coated.iccです。
この2つを準備するのは、PowerPoint資料を印刷用PDFにする際に、最初にPowerPointのカラープロファイルをsRGB2014.iccに変換したあとに、それをJapan Color 2001 Coatedに変換するためです。
ただCMYKにするだけでなく、カラープロファイルをJapan Color 2001 Coatedにするのは、印刷会社が想定している場合が多いカラープロファイルがJapan Color 2001 Coatedのためです。
sRGB2014.iccはこちらからダウンロードできます。
JapanColor2011Coated.iccはこちらからダウンロードできます。
4.PowerPointのデータをTIFF形式で保存する
PowerPointのデータをTIFF形式に保存します。
TIFFにする理由ですが、TIFFファイルの場合のデータは重たいのですが、画質を落とさないファイル形式のため、画質のきれいさを最優先にする出版や印刷の業者への入稿に向いているからです。
ファイル→コピーを保存をクリックし、PowerPointのデータを任意のファイル名にして(ここではcanvaにしました)保存形式をTIFFにして、先程作った任意のフォルダ(ここではCMYK)に選択し、保存ボタンをクリックします。
すると「エクスポートするスライドを指定してください。」という表示が現れるので、すべてのスライドをクリックします。
すると各自のスライドは、独立したファイルとしてフォルダに保存されますという内容のダイアログボックスが現れるのでOKボタンをクリックします。
ここではcanvaというフォルダにTIFF形式のスライドが独立して保存されます(今回使用したcanvaというPowerPointのデータはスライドが3枚なので3つのTIFF形式のデータが保存されています)。
5.コマンドプロンプトを開いて、カレントディレクトリを作成したフォルダにする
コマンドプロンプトを開くには、キーボードの[Win]キー+[R]キーを同時に押すと「ファイル名を指定して実行」というダイアログボックスが現れるので。名前のところにcmdと入力してOKをクリックします。
するとコマンドプロンプトが起動します。
そしてcdと入力したあとに、任意のフォルダ(ここではCMYKのフォルダ)をコマンドプロンプトにドラッグ・アンド・ドロップします。その後にEnterキーを押します。
するとコマンドプロンプトのカレントディレクトリが任意のフォルダ(ここではCMYKのフォルダ)になります。
6.TIFFデータをPDFに変換するコマンドを入力する
以下のコマンドを入力します。
magick convert "canva\スライド1.TIF" "canva\スライド2.TIF" "canva\スライド3.TIF" -profile sRGB2014.icc -intent Relative -black-point-compensation -profile JapanColor2011Coated.icc canva.pdf
convertのあとに半角を開けて、”(ダブルコーテーション)で囲み、その中に印刷用のPDFにしたいTIFFファイルを入力します。今回はCanvaというフォルダの中にTIFFデータが入っているので、canva¥と入力し、その後にファイル名を入力します。例えばcanvaの中にスライド1.TIFが入っている場合の指定は”canva¥スライド1.TIF”となります。
そして半角を開けて、PDFにしたいTIFFファイルを入力します。
今回の場合だとスライド1.TIF、スライド2.TIF、スライド3.TIFを印刷用のPDFにしたいので、convertのあとに半角を開けて、”canva¥スライド1.TIF” “canva¥スライド2.TIF” “canva¥スライド3.TIF”と入力します。
JapanColor2011Coated.iccのあとに、保存するファイル名を入力します。今回は、canva.pdfにしました。
そしてENTERキーを押します。
するとCMYKのフォルダの中に、印刷用のPDFであるcanva.pdfが作成されます。
これでPowerPointの印刷用PDFの完成です。
実際に印刷データがCMYKで、カラープロファイルがJapan Color 2001 CoatedになっているかをAdobe Illustratorで確認した例です。
Adobe Illustratorに複数枚のスライドを読み込むと、カラープロファイルがしっかり確認がとれないので、スライド毎に確認しました。
カラーモードはCMYK、カラープロファイルはJapanColor2011Coated.iccになっていることが分かります。